2019年 映画ベスト

<2019年の映画のベスト10>

2019年劇場で見た作品から選出。一部例外あるけど配信オリジナル系は配信日が2019年中のもので、順番は関係なしにあくまでベスト。では早速。

 

  • バーニング 劇場版

f:id:Bluexxx:20200109011223j:image

いやぁユ・アインいいですわ…。さえないユ・アインといかにも村上春樹臭のするスティーヴン・ユァンの対比がパーフェクト。最初と最後のカットがつながってる映画はいい映画って決まってるよね。

 

  • ザ・ライダー

f:id:Bluexxx:20200109011234j:image

これが唯一の例外で2018年あまりにもひっそりと配信されたため2019年分にカウントした作品。馬と人間の生命のつながり、絶望からの生きざまにめちゃくちゃ泣いた。2019年で一番泣いて頭痛くなった。個人的には文句ナシのナンバー1。

 

  • 幸福なラザロ

f:id:Bluexxx:20200109011245j:image

現代社会のお話と聖書のなかのお話を同じ次元で描ききった不思議な手触りの映画。ラザロ役の子はゴツい体躯とロマンティックな相貌の持ち主で、どこでこんな子見つけてきたんだと感嘆のため息が出るほど良い。

 

  • 荒野にて

f:id:Bluexxx:20200109011330j:image

ザ・ライダーに続きこちらも馬映画。馬の瞳って吸い込まれるような魅力があるよね。なぜ少年があれだけ馬に執着するのかがわかる人は、きっと孤独を知っているのでしょう。

 

  • 見えない目撃者

f:id:Bluexxx:20200109011341j:image

久々に邦画のサスペンスでめちゃくちゃ面白い映画見た!!!と大興奮した作品。最後の大倉忠義がいい意味でめちゃくちゃ笑える。韓国だったら絶対モノマネされてるやつだ(なぜか映画のモノマネが多い韓国。お茶の間レベルで通じるの羨ましい)

 

  • エイス・グレード

f:id:Bluexxx:20200109011350j:image

2019年の思春期痛い系映画。娘にマジウザイなとか思われながらも側で見守るお父さんに泣けた…娘の思春期行動がリアルゆえに己の青春のかさぶたが疼き出すので心当たりある人は注意です。

 

  • マリッジ・ストーリー

f:id:Bluexxx:20200109011400j:image

アダム・ドライバー最高!愛してる!!!だがスターウォーズお前のあの終わりは許さない絶対だ!!!

 

f:id:Bluexxx:20200109011412j:image

中学生のころビートルズを聴きまくっていた私にとってはジョンのシーンがたまらんわけですよ…ワンハリも良かったけど個人的な思い入れ具合でこっち。

 

  • EXIT

f:id:Bluexxx:20200109011449j:image

何も考えんとスカッと楽しめる映画も良いよね。毒ガスから逃れるために走り回るパニックムービーなんだけど、特殊なものを使わず身の回りのものを駆使して逃げていくのが面白い。コメディーパートの塩梅も絶妙。

 

  • 足跡はかき消して

f:id:Bluexxx:20200109011500j:image

戦争でPTSDに悩まされることになり森の中で暮らす父と娘の物語。「はじまりへの旅」をめちゃくちゃシリアスなトーンにしたような作品なんだけれど、それゆえに最後の決断はこちらの方が胸に迫る。

 

 

<旧作映画ベスト5>

DVD、配信などで観た旧作から選出。戦争関連多いけれどたまたまです。

 

キツツキと雨

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
高地戦

マジカル・ガール
サウルの息子

2019年は241本鑑賞。ドラマやアニメばっかり見てて手触り的にはあんまり映画を見れなかったなぁ。

 

2018年のベスト↓ 

2018年 映画ベスト - Peppermint candy

2019年 ドラマほか視聴リスト

ードラマー

下町ロケット」新春ドラマ特別編 ★★

「王女未央-BIOU-」★★

「ビッグ・リトル・ライズ」★★★★★

「ラスト・シンデレラ」★★★

「グッド・ワイフ」シーズン3 ★★★

「隣の家族は青く見える」★★★★★

「この恋は初めてだから」★★★★★

「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」★

「シンデレラは オンライン中!」★★

「ゆうべはお楽しみでしたね」★★★

「初めて恋をした日に読む話」★★★

「W -君と僕の世界-」★★★★

「サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~」★★★

「恋はチーズ・イン・ザ・トラップ」★★★

「ロマンスは別冊付録」★★★

「トドメの接吻」★★

「チャンネルはそのまま!」★★★

「恋のツキ」★★★★★

「私のIDは江南美人」★★★

「100万円の女たち」★★★

「愛の温度」★★★

「恋する指輪」★★★

「あやしいパートナー」★★★

きのう何食べた?」★★★★

「ビューティーインサイド」★★★★★

「宮本から君へ」★★★

「ある春の夜に」★★

「凪のお暇」★★★

「ドクターX」シーズン1 ★★★★★

「ドクターX」シーズン2 ★★★

「ドクターX」シーズン3 ★★★★

おっさんずラブ-in the sky-」★

「ドクターX ~外科医・大門未知子~」シーズン6 ★★

 

ーアニメー

リラックマとカオルさん」★★★★

僕のヒーローアカデミア」1期 ★★★

僕のヒーローアカデミア」2期 ★★★★

僕のヒーローアカデミア」3期 ★★★★

盾の勇者の成り上がり」★★

鬼滅の刃」★★

ハイキュー!!」★★★★★

ハイキュー!! セカンドシーズン」★★★★★

ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校」★★★★★

弱虫ペダル」★★★★

弱虫ペダル GRANDE ROAD」★★★

ダイヤのA」★★★★

ダイヤのA -SECOND SEASON-」★★★★

弱虫ペダル NEW GENERATION」★★

約束のネバーランド」★★★★★

ヒカルの碁スペシャル 北斗杯への道」★★

Free!」★★★★

Free!-Eternal Summer-」★★★

Free!-Dive to the Future-」★★★

「風が強く吹いている」★★★★

おおきく振りかぶって」★★★★

おおきく振りかぶって 〜夏の大会編〜」★★★★

GIANT KILLING」★★

「ツルネ ―風舞高校弓道部―」★★★★

SHIROBAKO」★★★★★

 

ー番組ー

「インテリア改造計画」シーズン2 ★★★★

「三食ごはん 高敞編」★★★

「インテリア改造計画」シーズン3 ★★★★

「ユン食堂」★★★

2018年の韓国映画界振り返り

記者が2018年の韓国映画界について語る下記動画が面白かったので簡単にまとめ。

 

 

2018年韓国映画界の特色

・大規模の映画にばかり投資が集まった

「神と共に」(신과함께)シリーズのヒットが影響。第2の「神と共に」を目指し、小規模映画にお金が行かず、大規模企画にばかり投資者が群がった。しかし、その結果出来た映画「人狼」(인랑)、「物の怪」(물괴)、「猖獗」(창궐)はすべて失敗に終わった。

※「人狼」は日本でもNetflixで配信中

「神と共に」ヒットの記事(作品紹介もあり)↓

ハ・ジョンウ&チュ・ジフン出演「神と共に2」勢い止まらず…観客1千万人突破目前に - MOVIE - 韓流・韓国芸能ニュースはKstyle

 

・注目作「完璧な他人」

上半期は韓国でも「ボヘミアンラプソディ」が大ヒット。それと同時期に奮闘した韓国映画が「完璧な他人」(완벽한 타인)。記者からも「こんな映画にも投資しなきゃと思わせる作品」と賞賛された。

作品紹介あり↓

ユ・ヘジン&チョ・ジヌン&イ・ソジン主演「完璧な他人」2種類のメインポスター公開…10月31日公開決定 - MOVIE - 韓流・韓国芸能ニュースはKstyle

 

俳優のギャランティ

俳優のギャランティーはA級・B級で分かれていたが、そこにスペシャルA級ができた。スペシャルA級の俳優が受け取るギャラは業界の雰囲気的に10億ウォンがMAX。さらに、そこにラーニングギャランティーが発生。ラーニングギャランティーというのは、興収が良ければその成績に応じて追加のギャラが発生するという契約。今年はハ・ジョンウが一番稼いだのでは?と記者たちの間では予測されているが、「神と共に」のヒット&そのラーニングギャランティーも大きな要因となっている。

 

ちなみにスペシャルA級は動画ではピー処理されてるけど、個人的な推測ではソン・ガンホとかファン・ジョンミンとかかと…

 

俳優評価

・今年のベストはチュ・ジフン

「神と共に」にも出演し、出演作が次々ヒット。女性人気もすごいが、前科(麻薬事件)のためCM契約が1本もないのが残念なところ。ちなみに主演を務めるNetflixオリジナルドラマ「キングダム」が今年控えている。

 

・評価が分かれたマ・ドンソク

同じような役ばかりという指摘をたくさん受けた。「犯罪都市」で製作投資に目覚めた様子だが、記者いわく今は俳優キャリアに集中する時期。

 

・今年のワーストはカン・ドンウォン

まだ「オオカミの誘惑」のイケメンキャラから抜け出せてない、演技派への転身が必要との指摘。興収面でいえば「人狼」「ゴールデンスランバー」ともに上手く行かなかった。

それでも、代表作ができると失敗が怖くてなかなか次の作品に踏み出せない俳優(ここでウォンビンの名前があがる)もいるなかで、怖がらずに次々と挑戦する精神は賞賛に値するとの評価。

 

問題点

多様性が足りない。大規模作品への一点集中はやめるべき。

 

動画では触れられなかったけど、カンヌでめちゃくちゃ評判が良かったイ・チャンドン監督の「バーニング」も忘れてはならないかと。こちらは2月1日に日本公開。あと個人的には大ヒットホラー「コンジアム」とパク・ボヨン&キム・ヨングァン主演「君の結婚式」が今年日本公開されるので楽しみ。

2018年 映画ベスト

<今年の映画のベスト10>

今年劇場で見た作品から選出(配信オリジナル系は配信日が今年中のもの)。今年は邦画をたくさん見た代わりにあんまり洋画は見れなかったな…。

 

f:id:Bluexxx:20190101002755j:image


このベスト10は順位特につけてないんだけどベストワンは?と聞かれたら迷いなくコレを推す。好きすぎて個別記事書いたのであとは省略で。

peppermintcandy.hatenablog.com

 

f:id:Bluexxx:20190101002815j:image

 

世知辛い世の中にこんな優しい映画を送り出してくれてありがとう…。とにかく、ささくれだった心によく効く映画。パディントンの可愛さに悶えまくった。

 

f:id:Bluexxx:20190101002831j:image

最後鳥肌立つ。39分とは思えない濃密さ。

 

  • バッド・ジーニアス 危険な天才たち

f:id:Bluexxx:20190101002905j:image

スリル満点のカンニング劇。めちゃくちゃスタイリッシュでエンタメで社会派でもある。

 

  • タクシー運転手 ~約束は海を越えて~

f:id:Bluexxx:20190101002919j:image

ソン・ガンホやっぱりすごいなとしか言いようがない。カーチェイスシーンも熱いけど個人的にはドキュメンタリータッチのデモシーンにシビレた。

 

  • 好きだった君へのラブレター

f:id:Bluexxx:20190101002946j:image

Netflixよありがとう。もうね、男の子が可愛すぎるの。「『すてきな片想い』見たことないの!?じゃあ見なきゃ!」って言う女の子に「『ファイトクラブ』見たことないの!?じゃあ2本立てだな」って男の子が返すシーン、完璧じゃない? 

 

f:id:Bluexxx:20190101003010j:image

遅ればせながら吉沢亮の良さに気付いた映画。彼は陰の俳優なんだな。

 

  • A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー

f:id:Bluexxx:20190101003028j:image

わかっていてもめちゃくちゃ泣いた。しかも映画とは関係ないけどその前にBANANAFISH読んでたので余計泣けた。シーツオバケは口がないからこそ表情が出るキティちゃん方式。

 

  • フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

f:id:Bluexxx:20190101003112j:image

毎度のごとく魔法のような映像は言うまでもなく。ショーン・ベイカーは土地を描くのが上手い。

 

  • ゴッズ・オウン・カントリー

f:id:Bluexxx:20190101003145j:image

男同士の恋を描いたという点では『君の名前で僕を呼んで』と共通してるけど、私の中ではそれよりも遥かに良かった。指先のショットだけで伝わる愛の温もりにグッとくる。

 

 

<旧作映画ベスト5>

DVD、配信などで観た旧作から選出。なんだかんだ古典名作ばっかりになっちゃうけどちゃんと古典を見ていかないとという戒めも込めて。

 

今年は253本鑑賞。去年の233本よりは見られたけれど、わりと軽いラブコメとか多くて重厚作品はカバーできず。来年はミニシアター系をもっと見る体力を取り戻したい。

去年のベスト↓ 

peppermintcandy.hatenablog.com

 

人生の後悔がまた一つ減った日

「TAEMIN Japan 1st TOUR ~SIRIUS~」

11/24@武蔵野の森総合スポーツプラザ

空のなかに、ただ一人の青年がポツンと浮かんでいる。背景に映し出された空の映像の真ん中で、まるでいまそこにテミンが誕生したばかりであるかのように、「DOOR」で公演の幕があけた。背景の空模様は音楽に合わせて変化し、雷が激しく光りだす。そしてその空の中でテミンは力いっぱいに舞い始める。その姿はさながら雷を操る神様のようだ。この神聖な空気を壊してはいけない、一曲目から彼の作り出す世界観に息をすることさえ躊躇われた。

そんな圧倒的なオープニングの次は「MOVE」。音楽番組で見ていた時は節制された美しい線が魅力的な振付だと思っていたけれど、実際に見ると思っていたよりもダンスが激しい。相手に魅了されるという内容の歌を歌っているけれど、テミンはいつだって魅了する側だ。紫の衣装も相まって、“妖しい”という言葉がぴったりなパフォーマンスに引き込まれていく。

そうかと思えばMCでは可愛らしく愛嬌をにじませ、ダンサーと一緒になって楽しむ曲では無邪気な笑顔を振りまく。万華鏡のように次々と出てくる新たな表情を逃すまいと目が、脳が、耳が、忙しい。

公演のちょうど中盤にあたる「Flame of Love」は四隅に炎が立てられ、その中心でテミンが躍るという演出。私がいたのはいわゆる天井席で、テミンの細ーい体は米粒サイズでしか見えない。けれど炎よりも激しい、テミン自身が放つ生命エネルギーで体が大きく見える。踊りに託された感情が放物線を描いてしっかりと天井席まで届く、そんな錯覚を覚えるくらいに。アイドルの公演は天井席の場合たいていスクリーンで表情を見てしまうけれど、テミンの公演ではそれが躊躇われる。その踊り、そのエネルギー全部を目に焼き付けておきたくなる。奇跡のような生命体をこの目にできて、人生の後悔がまた一つ減った日となった。

寝ても覚めても

半分の私は社会人として何食わぬ顔で生活をしていて、半分の私は地面から8cm上のところでゆらゆらと流れるままに漂っている。夢から醒めても夢の中にいるような、あの独特な浮遊感が濱口竜介監督の「寝ても覚めても」にはある。常にどこか現実味がなくぎこちない現実が、リアルに刻み込まれている。

元恋人の麦と、彼にソックリな亮平。映画はその間で揺れ動く朝子の物語だ。麦と亮平、日常と非日常、信頼と疑心、愛と憎しみ。コインの裏と表のようなそれらが、ないまぜになったかと思えばそっと離れて、そしてまた混ざりあう。その繰り返し。

登場人物の感情も、ないまぜのままで観客の前に引き出される。嬉しい、悲しい、悔しい。言葉にしてしまえば分類できた気になってしまうけれど、本当はそこに全てを託すことはできない。本来のそれは雨が降って濁った川みたいに、何種類もの色でできている。その複雑な色を直接スクリーンに塗り込めるように、この映画では朝子の何とも形容し難い顔に何度も向き合う。そこには胸の底を撫でるような不気味さがある。同時に不気味さを許す優しさもある。そんな複雑な色を捉えた映画だからこそ、ロングショットではためく彼女の服の白さが、奇跡のようにただただ美しい。